物理

物理について(3)

  さて、宇宙には銀河がたくさん存在しています。 そうした銀河は星の集まりですから、太陽と同じように水素やヘリウムでできています。 この水素やヘリウムはあるきまった色の光を発したり吸収したりするのですが、 もし、ある銀河を観測したときに、水素やヘリウムが発するはずの色ではなく、 それよりも少し赤っぽい光で輝いていたとしたらこれは何を意味するのでしょう? しかも、同じことが一つの銀河ではなく、数多くの銀河で起きていたとしたら? これは、数多くの銀河がいっせいに私たちから遠ざかってドップラー効果を起こしているということではないでしょうか。 宇宙空間の中で太陽系は特別な存在ではありません。 だとすると、これは宇宙そのものが膨らんでいて、銀河が互いに遠ざかっているということではないのか・・・!? まさにこれこそが宇宙が膨らんでいるという大発見のきっかけだったのです。

  ちょっと長くなってしまいましたが、 この話のように、実は救急車のサイレンと宇宙膨張という、 一見すると何の関係もなさそうな現象のウラに、ドップラー効果や波という共通のキーワードが潜んでいることがあるのです。 こうした共通項、すなわち「現象の本質」を見出すことが物理の目標です。 人間にはそもそも「なぜだろう」「どうしてだろう」という疑問を発する能力があり、 そして未知のもの・新しいことを知りたくてしょうがないという好奇心があります。 それを素直に追いかけ、まだ誰も知らないことを発見する、 物理に限らず科学一般の醍醐味はそこにあります。