生物

生物について(2)

  こうして20世紀に入ると、 生命現象の基本が次第に分子レベルで理解されるようになっていきます。 1953年には、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがX線回折実験から、 DNAの二重らせん構造を明らかにします。 DNAの二重らせん構造は、 染色体分配による遺伝のメカニズムを見事に説明しており、 その後の分子生物学を飛躍的に発展させました。

  現在、生物の遺伝情報は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 チミン(T)という4種の塩基配列としてDNA上に記録されていることが分かっています。 この遺伝情報は細胞内でリボ核酸(RNA)という分子に写しとられ、 その指令に基づいて各種のタンパク質が合成されます。 生物のもろもろの働きはこのタンパク質によって担われます。 そして、このようなDNAの仕組みやその働きはバクテリアからヒトに至るまですべて共通です。

  生物学は、基礎科学として重要であるだけでなく、 医学、農学などとも密接な関係があり、各種産業の基礎として、 また環境問題、人口問題、食糧問題、医療問題など、 人類が直面する諸問題の解決の鍵を握るものとして今後ますます重要になることでしょう。