物理系の選択科目

応用物理III(5M)(1単位)

 本科目では、振動・波動を学びます。 低学年の物理I・IIにおいて既に振動・波動を学んではいますが、 そこでの学習は図を用いた直感的なものにとどまっていました。 この科目ではその範囲から脱して、力学に基づいた理解を目指します。 力学の枠組みに基づいた扱いをすることによって、 波動で運ばれるものが運動量だったりエネルギーだったりすることが理解できるようになります。 また、力学による扱いで現れた数学的扱いを他の現象、 例えば電磁気現象などに適用することによって、 電磁波などの電磁振動も力学における波動と同様に、 エネルギーを運ぶ存在であることが統一的に理解されるようになることでしょう。

 波動の理解においては図形的な理解は欠かせませんが、 それに終始してもなかなか本質に迫れないものです。 そこに数理的な扱いを加味することによって見通しが立つようになるわけです。 機械的な振動現象についても、 力学的な理解が重要なのはここで言うまでもないことです。

 以上の理由により、本科目の履修を強く勧めます。

応用物理III(5E)(2単位*)

 本科目では、解析力学を学びます。3年次の応用物理Ⅰで学んだ、 いわゆる古典力学はニュートンの運動の法則から出発する力学でした。 それはそれで必ず学ぶべきものですが、 座標系のとり方によって運動方程式が大変に異なってしまうというやりにくさがあったのも事実です。 ところが、ラグランジェやハミルトンなどによって開拓された解析力学の方法によれば、 座標系のとり方によらない統一的なやり方で力学の問題を扱うことができ、 大変に見通しがよくなります。 このような古典力学の発展形として解析力学を学ぶということがこの科目の第一の目的です。

 しかし、解析力学を学ぶことの意義はそれにとどまりません。 学科の間にはあまり学びませんが、 専攻科もしくは大学の電気・電子系学科に行くとほとんど必ず学ぶことになるであろう科目に量子力学があります。 そこにおいては、解析力学の枠組みが活用されて記述されるのです。 そこにおける解析力学の適用性には驚くべきものがあり、 解析力学を学ぶことは量子力学の準備学習として大変に意義深いことなのです。 そして、量子力学の基本的な概念理解は、 今日のIT社会を支える電子デバイス等の動作原理を理解するために必須のものとなっており、 電子メディア工学を目指す学生であるならば、 量子力学の履修は必須のものとなっていると言えるでしょう。 それの前段階として解析力学は重要な位置づけを持っていることになります。

 以上の理由により、本科目の履修を強く勧めます。

(* 平成18年度入学者は1単位)